
旅行や出張先で「ホテルのWi-Fi」を使う場面は多いですよね。チェックインのときにフロントで教えてもらったパスワードを入力して、すぐにスマホやパソコンでネットに接続。とても便利です。
でも、ちょっと待ってください。そのWi-Fi、本当に安全ですか?
この記事では、ホテルのWi-Fiを安全に使うための知識と対策を、初心者にもわかりやすく、丁寧に解説します。
もし何も知らずに使っていると、大切な情報を盗まれたり、ウイルスに感染したりする可能性もあるので、この記事の内容をまず呼んで見てください。
目次
そもそもホテルのWi-Fiって安全なの?

多くの人が「パスワードがあるから安全でしょ」と思いがちですが、それは半分正解で、半分は間違いです。
ホテルのWi-Fiは、基本的に「公共のWi-Fi」と同じ扱いです。つまり、誰でもアクセスできる可能性がある「共有ネットワーク」です。
【具体例】実際にあった被害事例
被害の内容 | 詳細 |
---|---|
ログイン情報の盗難 | フリーWi-Fi経由でSNSやメールアカウントのログイン情報が盗まれ、乗っ取り被害が発生。 |
偽Wi-Fiによるフィッシング | ホテルの名前に似せた偽のWi-Fiに接続してしまい、入力したID・パスワードが盗まれた。 |
ウイルス感染 | 同じWi-Fiを使っていた別の宿泊者からマルウェアが送られ、端末が感染。 |
ホテルWi-Fiに潜む5つのリスク

ホテルのWi-Fiは便利ですが、一歩間違えると個人情報が漏れる危険な場所にもなり得ます。ここでは、実際に多くの人が遭遇している「ホテルWi-Fiの落とし穴」を詳しく解説します。
リスク① 通信が暗号化されていないことがある
「Wi-Fiがつながる」=「通信が安全に保護されている」とは限りません。
◆ なぜ危険?
ホテルによっては、暗号化が設定されていない、または**古い暗号化方式(WEPや古いWPA)**のままになっていることがあります。そうなると、Wi-Fi電波を傍受するだけで通信内容が読み取れてしまうのです。
◆ どうなる?
たとえば、Wi-Fi接続中に「http://」のサイトでIDやパスワードを入力したとしましょう。その情報は、盗聴しようと思えば他の宿泊客にも簡単に見られてしまう可能性があります。
リスク② 宿泊者全員が同じネットワークにいる

ホテルのWi-Fiは、宿泊者が全員、ひとつのネットワークを共有している場合がほとんどです。部屋ごとに個別のWi-Fiがあるホテルはまだ少数派です。
◆ 何が問題?
同じネットワーク内にいるということは、他の利用者があなたの端末をスキャンしたり、覗き見たりする可能性があるということ。
◆ 例えるなら…
同じホテルの部屋に「カギがかかっていないドア」で泊まっているようなもの。もし隣の人が怪しかったら……? そう考えると、ぞっとしますよね。
リスク③ なりすましWi-Fi(偽Wi-Fi)の存在

一番やっかいなのがこれ。**本物そっくりの名前を使った「偽のWi-Fi」**が、ホテルの近くで設置されている場合があります。
◆ たとえば…
本物:Hotel_Garden_WiFi
偽者:Hotel_Garden_FreeWiFi
名前が似ていて、つい選んでしまいそうですよね?しかも、パスワードが設定されていたとしても、見た目では本物かどうかの区別がつきません。
◆ どうなる?
偽のWi-Fiに接続してしまうと、その通信はすべて攻撃者の手の中。入力したクレジットカード番号やパスワード、閲覧履歴などをリアルタイムで盗まれる危険性があります。
リスク④ 中間者攻撃(MITM=Man-In-The-Middle Attack)

中間者攻撃とは、あなたとインターネットの間に割り込んで、通信内容を盗み見たり書き換えたりする攻撃です。
◆ ホテルWi-Fiが狙われやすい理由
攻撃者が同じWi-Fiネットワークにいると、中継地点になってあなたの通信を通過させて監視することができてしまいます。
◆ 何が起きる?
- 本来アクセスしようとした安全なサイトが、偽のログイン画面に差し替えられる
- メールの送信内容が見られる・改ざんされる
- SNSにログインしたつもりが、実は攻撃者にIDとパスワードを送っていた
リスク⑤ ファイル共有やBluetoothによる感染
ノートパソコンなどでは、「ファイル共有」や「Bluetooth」機能が自動でONになっていることがあります。
◆ 同じネットワーク内の危険
悪意あるユーザーが同じネットワークにいれば、他の端末にアクセスしたり、ウイルスを送り込んだりすることも可能になります。
◆ よくあるパターン
- 自分のPCフォルダが他人から見えていた(共有設定のままだった)
- 近くの誰かの端末と自動でBluetooth接続された
- 不審なファイルが勝手にダウンロードされていた
リスク一覧まとめ表
リスク名 | 内容 | 何が起きる? | 防ぐ方法 |
---|---|---|---|
暗号化されていない通信 | 通信内容が平文のまま流れる | パスワード・会話内容の盗聴 | VPN・HTTPSの利用 |
同一ネットワーク内の共有 | 他人とネットワークを共用 | 端末への不正アクセス | ファイアウォール・共有オフ |
なりすましWi-Fi | 偽のWi-Fiが本物を装う | 情報の盗難・ウイルス感染 | ホテルに確認・VPN必須 |
中間者攻撃 | 通信の途中で割り込み | 偽ログイン画面・改ざん | VPNの利用・サイトのURL確認 |
ファイル共有・Bluetooth | 自動接続や共有が有効 | 感染・情報流出 | 不要なら常にOFFにする |
これらのリスクを知っているかどうかで、ネットの安全性は大きく変わります。「Wi-Fiにつながったら安心」という感覚は、いまの時代では危険です。
その便利さの裏にある“影”を知ったうえで、しっかりと対策を取りましょう。対策方法をここからご紹介します。
ホテルWi-Fiを安全に使うための5つの対策【これだけは知っておきたい】

では、危険性があると分かったうえで、どうすれば安心してホテルWi-Fiを使えるのでしょうか?ここからは、初心者でも実践しやすい5つの具体的な対策を紹介します。
1. VPNを使う(最重要)
まず最も大切なのが、VPN(仮想プライベートネットワーク)を使うことです。
名前を聞くだけで「なんだか難しそう…」と感じるかもしれません。でも安心してください。最近のVPNは、スマホのアプリとほとんど同じくらい簡単に使えます。
● なぜVPNが必要なの?
VPNを使うと、インターネットとの通信がすべて暗号化されます。
つまり、仮に誰かがホテルのWi-Fiを通じてあなたの通信を盗み見ようとしても、何も読めない状態にすることができるんです。
● 旅行先でのリアルな使いどころ
- 出張中に会社のメールにログイン
- 海外からNetflixにアクセス
- ホテル予約サイトでクレジットカード情報を入力
こういったシーンでも、VPNを通していればかなり安心です。
● 初心者向けのVPNサービス
サービス名 | 特徴 | おすすめ度 |
---|---|---|
Surfshark | コスパがよく、使いやすい日本語対応 | ◎ |
NordVPN | 世界中にサーバーがあり、速度が速い | ◎ |
ExpressVPN | 安定性と信頼性が高くサポートも充実 | ◯ |
2. 「https://」で始まるサイトだけを使う
ホテルのWi-Fiに限らず、インターネットを使うときは**「https://」で始まるURLのサイトだけ」を使うのが基本ルール**です。
● httpとhttpsの違い
- http:// → 通信内容がそのまま見える(暗号化されていない)
- https:// → 通信が暗号化されていて安全(🔒マークが出る)
たとえば、ログインページや買い物サイトでhttpのままだと、入力した内容がそのままネット上に流れるようなもの。これはさすがに怖いですよね。
● チェック方法
スマホでもパソコンでも、ブラウザのアドレスバーに「鍵マーク」があるかを確認しましょう。
3. 個人情報の入力はできるだけ控える

いくらVPNを使っていたとしても、やっぱり心配なのがクレジットカード番号やID・パスワードの入力。特に、ホテルWi-Fiだけに頼っているときは、できる限りこれらの操作は避けるべきです。
● やらない方がいいこと
- 銀行口座にログインして残高チェック
- Amazonや楽天などで買い物
- SNSやクラウドサービスへのログイン
こういった操作は、できればモバイルデータ通信(4G/5G)で行うか、後日自宅のWi-Fiで行うのが理想です。
4. OSやアプリを最新の状態にしておく

意外と見落としがちなのが、端末のソフトウェア更新。古いバージョンのOSやアプリには、セキュリティの穴(脆弱性)が残っていることがあります。
● なぜ危険?
その穴をついて、ウイルスやマルウェアが侵入する可能性があります。とくに海外のホテルでは、知らぬ間に感染していたというケースも。
● 旅行前にやっておくこと
- iPhoneやAndroidのOSを最新にする
- よく使うアプリ(メール、ブラウザ、セキュリティアプリなど)のアップデートを確認
- WindowsやMacのセキュリティ更新も忘れずに
5. 自動接続の設定をオフにする

ホテルやカフェのWi-Fiに一度つないだことがあると、スマホやPCが勝手に再接続してしまう設定になっていることがあります。
● これ、実はかなり危険です
というのも、**なりすましWi-Fi(本物そっくりの偽物)**が存在した場合、自動でそちらに接続されてしまう恐れがあるからです。
● 対策はシンプル
- iPhone → 設定 > Wi-Fi > 自動接続をオフ
- Android → Wi-Fi設定から「保存済みネットワーク」を削除
- ノートPC → ネットワーク設定で「自動接続を無効」にする
たったこれだけで、偽Wi-Fiへのうっかり接続を防ぐことができます。
5つの対策まとめ表
対策内容 | 目的 | 具体的な方法 |
---|---|---|
VPNを使う | 通信を暗号化して守る | SurfsharkなどのVPNアプリをインストールして常時ONに |
HTTPSサイトだけ使う | 情報の盗聴を防ぐ | 🔒マーク付きサイト以外は避ける |
個人情報の入力を控える | ID・パスワードやカード番号の流出防止 | 銀行や通販はできればモバイル通信で |
ソフトウェアを更新する | 脆弱性を塞ぐ | OS・アプリの自動アップデートをONに |
自動接続をオフにする | 偽Wi-Fiへの誤接続を防ぐ | 設定画面からWi-Fiの自動接続を無効に |
「旅行中はできるだけ手間を減らしたい」と思う気持ち、よく分かります。でも、ほんの数分だけでもこうした対策をしておけば、安心してネットが使える環境が手に入るのも事実です。
「やっておけばよかった」と後悔しないためにも、出発前やチェックイン直後に、ぜひ試してみてください。
旅行先でも安心して使うために:OK・NG行動まとめ

行動 | 安全度 | コメント |
---|---|---|
VPNを使ってWi-Fi接続 | ◎ | 最も安全な使い方 |
HTTPSサイトだけを見る | ◯ | 最低限のセキュリティ対策 |
VPNなしでログイン・決済 | ✕ | 情報漏洩の危険大 |
フリーWi-Fiに自動接続 | ✕ | 偽Wi-Fiに接続するリスクあり |
モバイルデータ通信を併用 | ◯ | 安心だが通信量に注意 |
よくある質問(FAQ)

Q1. ホテルのWi-Fiって、どこまで管理されてる?ホテル側に見られることってある?
A. 技術的には、ホテル側が通信の一部を監視することは可能です。
ホテルのWi-Fiは、ルーターや中継機などを通じて提供されており、その気になればどの端末が、どのサイトにアクセスしているかを把握できる仕組みになっています。
とはいえ、多くのホテルがそこまで積極的に監視しているわけではありません。
ただし、「技術的に可能」である以上、個人情報を扱う通信(パスワード入力、決済など)は必ずVPNで保護するのが安心です。
通信内容までは見られなくても、「いつ・どのURLにアクセスしたか」はログとして残ることがあります。
Q2. スマホだけならウイルスに感染しないのでは?
A. 感染する可能性はあります。
確かにPCよりリスクは低めですが、スマホもウイルスやマルウェアの対象です。
とくにAndroid端末は、アプリ経由での感染が報告されています。また、通信の盗み見はスマホでも普通に起きます。
VPNを使えば、通信内容が見られる心配を減らせます。
Q3. VPNって本当に必要なんですか?使わないとどうなる?
A. 安全にインターネットを使いたいなら、ほぼ必須です。
VPNがないと、同じネットワーク内にいる第三者にあなたの通信(ログイン情報・閲覧履歴・入力内容など)を見られる可能性があります。たとえ自分が気づかなくても、情報が盗まれて悪用されることは珍しくありません。
パスワード付きWi-Fi+VPNなし=“油断した人を狙う格好の的”になります。
Q4. なりすましWi-Fiって本当にあるんですか?
A. はい、実際に被害報告もあります。
たとえばホテルのWi-Fiが「Hotel_Guest_WiFi」だったとして、近くの誰かが「Hotel_Guest_WiFi_Free」などと名前を似せて偽のアクセスポイントを立てているケースがあります。
スマホやPCは似た名前のWi-Fiに自動で接続してしまうこともあるので注意が必要です。
Q5. モバイルデータ通信(4G/5G)の方が安全ですか?
A. はい、Wi-Fiより安全です。
キャリア回線(docomo、au、SoftBankなど)の通信は基本的に暗号化されているため、盗聴リスクが極めて低いです。セキュリティが気になる場面(ネットバンキング、クレカ決済など)は、Wi-Fiではなくモバイルデータ通信で行うのがベストです。
Q6. 「VPNアプリ」はどれでもいいんですか?無料でも大丈夫?
A. 無料VPNはおすすめできません。
無料のVPNアプリには以下のようなリスクがあるからです:
- 通信速度が遅く、接続が不安定
- 利用者のデータを広告業者に売っている可能性あり
- セキュリティが甘く、逆に情報が漏れる危険性も
信頼できる有料VPNを選ぶのが、結果的に一番安心・安全です。
1ヶ月以内の短期旅行であれば、無料のお試し期間内なので無料で利用できます。1ヶ月以内の利用でおすすめのVPNはこちら。
Q7. ホテルの部屋でWi-Fiを使うだけでも危ないの?
A. 部屋で使っていても、リスクは変わりません。
ホテルのWi-Fiは、部屋ごとにネットワークが分かれていない限り、全館共通の1つのネットワークであることが多いです。
つまり、「部屋にいても、同じWi-Fiに他の宿泊者がいる」状態です。
Wi-Fiの物理的距離ではなく、ネットワーク的な“近さ”が重要です。
まとめ|ホテルのWi-Fiは「便利だけど危険」なのを忘れずに

ホテルのWi-Fiは、つい何も考えずに使ってしまいがち。でもその便利さの裏に、盗聴やウイルス感染のリスクがあることを知っておく必要があります。5つの対策法をもう一度まとめておきます。
✅ ホテルのWi-Fiを安全に使うために、最低限やっておきたい5つの対策
- VPNを使う
- HTTPSサイトだけを使う
- クレカ情報などは入力しない
- 端末やアプリは常に最新にする
- 自動接続をオフにする
「ホテルのWi-Fiは安全」と思い込まず、少しの対策で大きな安心を得られることを、ぜひ覚えておいてください。